ホローポ・ジャネーロ jolopo llaneroは、大きくふたつのタイプに分けられる。パサーヘpasajeとゴルペgolpeであり、それぞれは次のような特徴を持つ。
パサーヘ:決まったコード進行をもたず、予め作者によって創造されたメロディーや歌詞に重点が置かれる。そのために演奏される速度は通常ゆっくりめ(BPM160~200)である。リズムは、トレスtres(4分の3拍子のホローポ)である。通常、2つのメロディーセクションからなり、AABBという構成をとる。歌詞には内容的に一貫性があり、それゆえ、パサーヘの曲はタイトルを持つ。
以下の動画は、シモン・ディアス Simón Díazの自作自演による「カバージョ・ビエホCaballo Viejo」であり、言わずと知れたパサーヘ・ジャネーロの最高傑作のひとつである。
ゴルペ:決まったコード進行に則って、即興性を重んじて何度も循環して繰り返される。速度は、180~230BPM程度で非常に速い。伝統的にさまざまなゴルペが型として存在し、4小節からなら短い循環からパサーヘなみの長い循環を持つものまである。リズムは、トレスとセイスseis(8分の6拍子のホローポ)の2種類が存在し、セイスは、ホローポの王様と称えられるパハリージョpajarilloをはじめ三種類のみであるが、シンプルな循環ながら非常に重要な型となっている。歌は、通常当意即妙な歌詞を生み出すコプレーロ coplero により即興的に展開する。即興的な歌詞で複数の歌い手が競い合う歌試合contrapunteoという流儀が存在する。それぞれの歌や演奏は、即興的であるために型の名前で呼ばれることが多く、曲名を持たない。複数のゴルペを、メドレーにするentreveraoという手法もしばしば見られる。
とくに重要なゴルペ:pajarillo, seis por derecho, quirpa, periquera, zumba que zumba, carnavalなど
以下の動画では、レイナルド・アルマスの「エル・カルデナリート El Cardenalito」と題するゴルペ・ジャネーロのメドレー、つまりentreveraoである。登場するゴルペは、イントロのあと順に、periquera、seis por derecho、carnaval、chipola、pajarillo、merecure。